テン年

STUDIO VOICE」の最終号(おつかれさまでした)をツラーッと読みました。俺はスタジオボイスさんが言うところの「ゼロ年代」が概ね「面白味のねえ年代だったなー」と思っている人間であり、というか、ちょっとよくわからないので落ち着いて飲み込みましょう、と思っているうちに10年経ってしまった、という具合なので、このゼロ年代にはほとんどスタジオボイスにお世話になることがありませんでした。こういう奴がひとつの文化を消すのに拍車をかけてしまったわけですね。すみませんです。で、ツラーッと読んだんですけど、興味深かったのが、この10年の非常に象徴的な死、故人を取り上げるコーナー(ちょっと今手許にないので正確な見出しが分からない)に、さまざまな文化人の方がコメントを寄せてたんですけど、多くの人が「死ぬ」「亡くなる」などではなく「鬼籍に入る」という言い回しを選んでいたこと。時代の寵児の死を表す単語としては、なんかしっくりくるのは、まあ確かにそうかもしれないけど、だだかぶり感というか(笑)。ザッツ・サブカルチャー! みたいな雰囲気というか。

そしてもうひとつ。何カ所かに「テン年代」というすごく違和感のある単語を見つけて、なんど? と思ったんですけど、もしかしてもう定着している言葉なの? と本気でうろたえた。テン年代って。慌てて社内(サブカルチャーをギンギンに吸っている人が結構な数いる)で「テン年代ですがー」と問うてみたところ、特に通用する単語ではなかった。ので安堵した。
よく「物事を10年くくりで総括するなんてナンセンス」なんてことを仰る方もいますが、俺はこの「10年をざっくりひとまとめにする話」は大好きで。適当な結論をつけてあーだこーだ言うスタジオボイス的な文化は大好きです。が、この10年!を判断保留のまま受け流してしまったのは「ゼロ年代」という単語に異常な違和感があったからにほかならず、や、ほかにもあるけど、そんでまあ次の10年をどう生きようかと思ってたところに「テン年代」って! 俺そんなだめな名前の10年は過ごしたくないですわー。まだ始まってもないのに出端を思う様くじかれたというか。自分にとって住み良い10年にするためには「テン年代」という単語を全力でスルーせねばならん、と誓ったのです。悪ふざけみたいな仕事をしながら。

しかし聞いてみるとどうも「テン年代」というのは今のところ主に佐々木敦さんだけが使われているようで、きっと佐々木さん自身も探り探りで使われているんですよね。結果的に面識のない方をDISったようなかたちになってしまい大変申し訳ないですけど、テン年代はないですわ〜。