カプチーノをふたつ、ラーメンをひとくち


満腹ゲージが低めに設定されている私のような、胃袋の小さい者にとって、丼もの、なかでも味が濃厚で汁のあるラーメンの類は、実に過酷な食べ物である。であるが、ラーメンそのものが嫌いなのかというとそのようなことはなく、会社の同僚などが、あすこのラーメンは美味しかった。いやいやあすこのほうが。などと話しているのを耳にすると、ここはひとつ、ひさしぶりにラーメンでも食べようか、という気分になる。なるが。
満腹ゲージが低めに設定されている私は、ラーメンを一杯たいらげる頃には「なぜ俺はラーメンなど喰おうと考えたのか」と、腹十分目を超えもう食べ物など二度と食べたくないという気持ちに陥り、若干凹む。凹むだけならまだしも、軽いいらだちすらを覚え、向けどころのない怒りを抱えたまま店をあとにするのである(今ここ)。あなたの街のラーメン屋から怒り心頭の男が飛び出してきたら、それは十中八九、俺だ。
ラーメンは食べたい、しかし食べれば怒り心頭になる。どこのラーメン店だってーー程度の差こそあれーーこだわりぬいたダシその他、家庭では簡単に出せない味を提供してくれるし、そのような味を胃袋の小さい私だって楽しみたい。小ぶりな丼や少量サイズのものを用意してくれる店もあるが、それとはまた別のーー食事とは別の地平にあるラーメン? を嗜みたいと思うことが私には多々あるのだ。
「ラーメンっぽいものを口に含みたい」
フランス人のように。カプチーノをサッと含んでカフェを去るような、そんなラーメン店はどうか。と考えた。れんげ一杯ぐらいの(しかし、しびれるほどに奥深く、美味い)ラーメンをワンコインで提供する店というのはどうか。ラーメンは腹をいっぱいにしてなんぼだろうと思うには思うが、ビジネスチャンスはどこに転がっているか分からない。ジューススタンドの如くオフィス街にさらりと建っていたら案外繁盛するんじゃないだろうか。まあ通ってまで喰うかというと、俺は喰わないけど*1

*1:そんなお店、ありますよすでに! という耳よりな情報がありましたらご一報を。