ぼくの伯父さん(サブカル中年vsリアル中2)


夏休みを利用して、甥っ子がひとりで東京に遊びに来るという。
親戚が泊まりにくる、なんてのは皆いくらでもある話なのだろうけれど、私は甥が14歳になる今までに、ただの2度しか会ったことがない。私がめったに里帰りをしないからなのだが、最初に会ったのがまず6歳ぐらい、とすでにある程度育ちきった頃で、次は10歳ぐらい。記憶の中のチビッ子とはすっかり別の人間になっていた。そんで14歳、と。まあだから、ふれあった回数だけでアレするならば、近所に住んでいるよその子以上に他人だ。
それよりも。私は現代を生きるリアル中2と、幾晩かを2人で過ごすことになるのか。これはなかなかに興味深い。中2といったらもう、1人の人間として(悪い意味で)すっかり確立された個人が出来上がる年齢だ。自我のめばえ。……するとどうしても気になることがひとつある。念のため確認しておくべきだろう、と私は兄(甥の父)に電話した。
「甥はどのように育っているのか」
中2といえばあなた、ヤンキー的な人格ならばその辺りが一番の入り口であるし、教室の片隅でじめっと過ごすタイプならばとことんじめじめとしているかもしれない。兄は昭和ヤンキー創成期の本格タイプであるし、未だ当時の仲間とつるんでいるぐらいだから、そっちに自然と引き込まれている可能性は高い。が、反動で潜っちゃう場合もあり。
「じめっとしているわけではないが、工学系のヲタ分野にのめり込んでいるぞ」

つまりは渋谷だ台場だギロッポンだ、というよりは、秋葉原をグルグル回ったりしたいようだと。まーヤンキーよりは扱いやすいかもだけど、実際どうなのー。つうか「かんなぎ」だの「よつばと!」だのがガンガン並んでるおじさんの家ってどうなのー。「私はこれから『ハルヒ』を観るから、君は早く寝給え」とか言う。どうかするとそっち方面にはギンギンに食い付いてくるかも知らず、そんな話したくねっつの。甥と。そっちもアレだけど、他どこ探しても変なレコードとか変な本とか、サブカルしか出てこないわけでしょ。サブカルおじさんなわけでしょ冷静に考えて。これってどうなのー。逆の立場だったらゾッとするよね。あんま会ったことないおっさんの家に行ったらとんだサブカルだったっつう。
今はガイド本などを眺めながら、どのへんをうろつこうかと計画を立てているのだそうで。どんなことになるのかわからないけれど、そこそこちゃんとした「おじさん」業をまっとうしたいと思います(夏に続く)。